第十八回 邪陽

《つづき》俺の太陽。まず大沢舞子。我ら中学生棺桶のチラシやCDやらDVDやらのジャケにしつこく登場してはイヤラシイ笑みを浮かべている、中学生棺桶のシンボルである「奇娘のぞみ」嬢に、あくまで「偶然に」よく似ているのが、全てを持った「いい女の完成形」大沢舞子さんである。あのMEGUMIにグラビア道の何たるかを教えた女でもある(MEGUMIいわく「舞子ちゃんの写真集は勉強になる」)。デビュー当時は「みなみ」と名乗ってました。高校時代に野球部のマネージャーをしていたのがその由来。夏休みには「皆やる気出るかなぁと思って..」水着で部活に出てたらしい。Jカップなのに、だ。当然そんな事されて練習になる筈無い。彼女のせいで、いや「おかげ」で、弱小野球部だったに違いない。と言うか、彼女の「大悪魔な性質」はそんなもんじゃないんだよ。はっきり言ってここで俺にクドクド説明させたらコラム13回分ぐらいになってしまうので、紹介は加減して行う事にする。実は幼年期から「可愛い女の子」になりたかったりもした俺は、思春期からは、とりあえず誰より舞子に憧れた。舞子になりたいと思った。今でもなりたい。姿形だけでも、ああなりたいさ(さっき彼女の胸について触れたが、俺が愛してるのは彼女の「立ち振る舞い」とか顔とか表情とか声とか喋り方とか性質..まさに存在そのものであって、断じて「只ボインだから」とかいうナメた理由では無い)。舞子みたいな「いい女」になって生きて行きたい。あの風体で(棺桶でも良いんだが、出来れば)フルートの入った「黒いプログレバンド」をやってみたい。全てが揃った凄い女。完全体。それが大沢舞子。俺の言う事を信じられない不届き者は、今の時点で彼女の遺作となっている「大沢舞子 DVD BOMB DC」(最高傑作である)を観てから俺に直接文句言え。あと、みなみ時代のTV映像(確かアルテミッシュナイトというギルガメ的エロ番組が唯一のレギュラーだった筈)持ってる人居たら、俺は貯金おろしてでも謝礼しますので、頼むから譲って下さい。彼女に対して過去を愛でるのは決して本意ではありませんが。と言うか、今彼女は何処で何やってるんでしょうか。おそらく今でも男を賢くたぶらかして・・失礼、兎に角勝ち続けているに違いない。何せ全知全能だからな(ちなみに今回のおかずの一品目は、俺が彼女に歌って欲しい曲です)。

さて、ここからが本題だ。俺の太陽。俺が昔から敬愛してやまない彼。オシャレさ(ストリートの装い)に決して逃げない「吐露者」。自身の内部の「本質」の固持者。ポップとロックの「悪戯者」(戯作者でもあるのかも知れない)。彼は、その70年代からのキャリアの全てに於て、おそらく一度たりとも「長いもの」に巻かれていない。時代とネンゴロになって服着替えてタレント活動して音変えてまで「生き残り」に走る、唾棄すべき処世術の使い手(ビジネスマン的年寄りバンドマン)とは雲泥の差だ。最初のバンドから既に時流とは真逆を行って(見事に気風に抗って)いた、まさに逆行のパンクスだった。何度でも言うが、「パンク」とは音や見てくれのジャンルでは無く「生き様を指す「ギトギトボロボロの冠」の意である。彼はその後名前が変わっても、そのすさまじいギターと(芸術家かぶれファッション人種をいっぺんに敵に回す様な)すさまじい歌声とすさまじい作詞作曲編曲センスと、絶対に譲らぬその美意識(これが最重要)、そしてユーモアと皮肉の反逆精神とを「さりげなく」「完全に」自前の武器として、時代の大衆に媚無く貫き通し、本当すさまじくカッコイイ曲ばかり俺に聴かせてくれた、俺にとって(いや!日本の地下ロックの歴史全体にとっても)唯一無二の存在の一人だ。

その彼が、俺のライブにフラリと現れた。

何のカモフラージュも無く彼は彼のまま現れ、恐る恐る声を掛けた俺に静かにニヤリと返し、足を止める。驚く事に「以前から気にとめて」いてくれたらしい。それだけでは無い。いつ何処のシーンにも取り込まれず、どの波にも乗らず、悪態をつきながらも(稚拙で些か恥ずかしい表現ではあるが)ちゃんと戦ってた男が、俺の「戦い方」「生き方」を汲んでくれていた。その証は、何とも少ない言葉での何とも「重い励まし」だった。「観れない・会えない・生きてるかすら解らない」の三拍子揃った「伝説のバンドマン」の顔を拝めた感激を抑えきれず、慌てるしかなく、大した話もしていない(出来ない)、名乗って挨拶すらしてない俺に、肩を掴んで何を言うかと思ったら、「葉蔵、絶対負けるなよ」ときた。・・・・重い。凄いな。解られてる。初対面なのに、この人には殆んど伝わってる。俺が、体育会系ボケ大衆や気取りくさった物真似バンドやその徒党相手に、(その絶対的数量の格差ゆえ)形勢不利な喧嘩を売り、戦いを敢行してる事。それをめげずに続けてる事。心ない部外者からの「したり顔の野次」や解脱者気取りの空気男からの「思慮浅い見解ナイフ」といった「無自覚の殴打」に、時折くじけそうになっては酒呑んで吐いて呑んで吐いてを繰り返してる事。厳粛なる問題提起ではあるが、笑いながら話してるってだけで、あからさまに軽視されて侮蔑を受けている事。全部、全部、把握されてるんじゃなかろうか?(恥ずかしいこの表現を、恥ずかしながらも何度も使わせてもらうが)ちゃんと戦ってた男から、ちゃんと戦ってる事を理解されたのか?やってる音楽は勿論その戦い方まで、評価してくれたのか?応援してくれたのか?してくれてたのだろう。こんな光栄初めてだ。この日を忘れてなるものか。俺はポロポロと泣きました。その晩、俺は計四回、人前で気持悪い顔で泣きました。直後に人に話して話しながら泣き、電車に揺られて思い出して泣き、中野に帰って呑み屋でまた泣きました。こんなセンチメンタルの道具にされるのは、きっと(相手が誰であろうが)不快に違いないだろうし、色々煩わしい思いもさせてしまうかも知れないので、彼の名をここで出すのは、よす。こういう形で会うずっと前から、俺は強く、彼と彼の音楽に心酔してた「大ファン」なんです。迷惑かけまい。彼にだけは、「売名」と受け取られるのは嫌だ。

けれど悪いね。そうだよ。正直これは自慢だよ。自慢に過ぎないよ。だけれども、コレは自慢になるだろ。コレは誇ってもいいだろ。こんな嬉しい事無いぞ。小躍りして感情表現しても許されるんじゃないか。太陽に、チャラチャラした眩しさなど皆無な、あの邪悪な太陽に、とんでもないエールを(ねだってもすがってもいないのにだ)面と向かって頂戴したのだから。俺は間違ってなかった。そう俺は自負します。今まで以上に遠慮を減らし、俺は続けます。何を?「復讐」をだ。ろくな目にあわないだろうけどな。

今週のおかず三品:
殿方ごめん遊ばせ/南翔子
真夜中すぎの恋/安全地帯
THE HELL/MAD

 

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