第四十二回  あらためて境界線

お金が儲かったり、ヒラヒラのいい女が頬赤らめて群がって来る様な、そういう技術も才能も何一つ無い(行列行進・流行に疑い無く軽々しく飛び乗ったり打算的に摂取出来るのも、一つの才能ではないでしょうか)上に、もの凄く運が悪いんです。ついてない。すぐに遅れをとる。何だかのろい。間が悪い、タイミングが悪いのでしょうか。つまり、場の空気が読めないのでしょうか。そうなのでしょうね。読めないのでしょう。距離も測れず色も読めないゆえに自分は、知人にふられ、友人にふられ、家族だと思っていた隣人にふられ、恋人にふられ愛人にふられ、自転車に乗り走り出せば雨にふられ、横断歩道渡ろうとすりゃ信号機にふられ、ふられ続けて、生きてきました。只只、「恥じらい」に尽きます。それをコソコソと隠して、かっこつければいいのでしょう。かっこつけていれば良かったんですね。けれどいつだって、それが一番難しい。それが一番汚らわしい。わざとらしい。わざとらしいのは、嫌だ。わざとらしさが解らない奴らは、馬鹿だ。気付け。気付かれてるぞ。気付け。気付いてるぞ。俺は。

我が中学生棺桶は最近、センチメンタル出刃包丁の「まだひどくやれ」という曲を、ライブでやっている。ご本人さん達に一度も聴かせる事無く、それより先に二度三度お客さん相手にカバー披露していた所に、やっとこさ先日、元センチメンタル出刃包丁ボーカルのアナルファック妖介本人が、我々のライブに現れた。ベッタリとした黒髪も幾らか伸び、相変わらずの怯えた眼でヒヒヒと笑う彼。聞けば、もう童貞ではないという。21歳の妊婦相手に中出しをきめたのだと。この勢いで今後もハメ倒して、そのままいつかエイズになって死んで、天国でフレディにケツを掘り掘りされてから地獄に堕ち、そして永遠のチャンプになりたいのだそうだ。また新しくバンドを組んで、底の底の底(つまり最低辺)を目指して酷くヤリたいと意気込んでいる、誰よりも「ダメカッコイイ」男。心から応援しようじゃないか。俺は彼に、カバーの選曲もタイミングも何も告げず、つまり事前の打ち合わせゼロで、客席から呼び寄せてみた。「まだひどくやれ」演奏中に、ほろ酔いの妖介氏を、舞台にヨイショと引っ張り上げたのだ。その日は正直、会場の客層の一部に「リアルパンクに縁遠い不勉強エテ公ども」(対バンの面子からして当然なのだが)がパラパラと見受けられ、嫌〜なオスメスの臭いがプンプン憤憤したので、そいつらと自分らとの距離と溝を、より一層強く深く際立たせてやろうと、俺は思い立ったのだ(普段から嫌ってる人種相手に更に嫌われる瞬間は、毎度ながら最高の気分だ)。よって俺はあの日、試しに、「爆弾」を呼び込んだのだ。待ってましたとばかりに、彼は十八番の醜態晒し・芸術破壊を敢行する。やっぱりこの人、本当カッコイイ。そして見事に、25分間の短いステージが終わった。気持良かったなー。面白かったなー。久々の達成感、充実感だった。妖介氏も俺も俺のバンドも、いわゆる俗世(小児病的一般大衆)の視点からすれば、いわゆる「キモイ」だけの存在である。連中からすれば、さぞブザマだろう。さぞ頭でっかちで、尚且つ貧乏臭かろう。抱かれたくないランキング上位だろう。「生理的にムリ」だろう。ダサくてありえなくて、そのくせ(我々が)口汚くて攻撃的なんだから、そりゃ面白くない上に腹も立つだろう。その位の空気は、こちら側にも伝わっている。解っている。嫌われるのは、納得出来る。そんな要素は随所にあるのだから、当然の「煙たがられ」だ。承知の上で、覚悟の行いである。

けれども、どうしても譲れない思いがある。こちらとあちら、果たしてどちらが「くだらない」のか。こちらか?冗談じゃない。冗談じゃないぞ。「わざとらしき物乞い」は、明らかに向こう側である。ゆえに我々には、劣等感などこれっぽっちも無い。事前に復唱してチマチマ練習した挙句のMCや、インスタントな一体感で安易に盛り上がれる様な「同じ動きへのあざとい号令」や、打ち合わせ通りの乱入や、用意周到なアゲアゲアンコール、そういう腐れエンタメバンド(決まって大体が、「退廃」の薄皮を被ってカモフラージュでセコく逃げ、ロックだメタルだハードコアだと、エセの死臭でうそぶいている)に比べて、我々の方が劣っているだなんて、到底思えないのである。冗談抜きで、笑えない。どちらが「テキトーに中途半端」で、どちらが「あさましく軟派」で、どちらが「無自覚にぬるい」のか、とうに答えは出ているのである。まともな頭の思考の持ち主ならば、そこには勘違いの余地は無いだろう。つまり、先日の池袋手刀での中学生棺桶を観て、言うに事欠いて「予定調和」だと大ボケ勘違い見当違いをする様な人間がもし居たなら、そいつはもう殆んど白痴か重度の知的障害者である(そんな奴はどうせ、ビジュ系傾倒の無知無知ヤリマンか、自身の無創作を棚に上げて嫉妬を燃やすサブカル若年寄りに決まってんだ。だろ?)。そんなパッパラパーがもし居たならの話をするが、「キサマだけだ、そんな間抜けは」。ザマーミロである。役に立たない目玉や耳など、さっさとくり抜き削ぎ落とした方がいい。キサマの指摘・解釈は今までもこれからも、いつだって的外れで、いつまでも知恵遅れ型だ。悔しかったら、かかって来い。いつでも、かかって来い。本当に、かかって来いよ?顔も名前も電話番号もメールアドレスも職場も過去も性癖すら(←つまり、ここにつけこめば俺を壮大なドッキリで騙して泣かす事も可能である)も、俺は今も様々な所で公開している訳だが、このセルフ情報公開に後悔は未だ一度も無い。何故か?誰も何もして来ないからである。ちゃんねらーだのミクシイだの、今や名前とその影響力だけはやけにデカい割に、度胸や覚悟や殺る気どころか実体すら、まるで「無い」のである。個人情報とやらを幾ら探して見付けて貼り出した所で、それ以上の事は(実際にはイタ電の一つも)一切出来やしない、腑抜けも腑抜け大腑抜け。何故か?それ以上の事をするには、大好きなパソコンの前から離れないといけないからである。お得意の「便所の落書き」ならな、お部屋ん中のそのチンケな電脳要塞でも出来るがな、どんな蛆蟲でもお手軽に参加出来る(便所の壁の掲示板にテメエの糞なすり付けてりゃそれで済むんだからな)がな、空想のお御輿でワッショイ祭ったり、空想の放火ならお手軽に、見境無く繰り返せるんだろうけどな。全くしょぼい。SPA!時代の宅八郎にも劣る。あれも相当しょぼいが、あれよりしょぼい。いい年ぶらさげて現実逃避「だけ」ってのは如何なもんよ?逃げんのはよせよ、逃げんのは。流行ってるからって飽きもせず、後ろ盾のまるで無い虚栄で張り合って団栗の背比べ。逃げる前に、ちゃちゃ入れる前に、何か作ってみろや。ちゃんと実体のある、何かを作ってみろや。何度でも言うぞ。完全に「上から」言うぞ。だって間違い無く俺よりも劣ってる、奴らは無駄な人間だからな(理由:俺はやってる。歩み遅くとも、積み重ねて進んでる。奴らは始めてもいない)。完全に見下しながら、言う。あらためてハッキリ言う。名前も顔も戦う気も戦った事も無い連中に、発言の資格は無い。つまり、批評・評論の資格も無いんだよ。黙れ。黙れよ。無駄だから、黙ってろよ。やってから野次垂れろよ。やりもしないで、微生物が。友達探しの流行民族が。そんな弱小連中に論破され砕かれる俺じゃねえんだよ。俺はびびりも屈しもしない。完全になめてかかっている。再度、挑発してやる。何度でも小馬鹿にしてやる。いつでもかかって来い。実物の俺を叩きに来やがれ。直接ぶつけに来てみろ。「本当に」叩いてみろ。「本当に」燃やし尽してみろ。こ・ろ・し・て・み・ろ・って言ってんだよ、口先だけの包茎策士ども。チンカスインテリども。唯一の核は「嫉妬」かい?妬みでもやっかみでも結構だからよ、やってみろよ。脅かしに俺に会いに来てみろ。出来ないんだろ?怖いんだろ?なら黙ってろって言ってんだよ、俺は。ニヒリスト気取って、「面倒くせえ」ってか?ああそうかい。どうでもいいってか?ああそうかい。ならよ、面倒臭いんならよ、即刻!死んでしまえ。生きてる限り、きっと誰もが最後まで面倒臭い。それが嫌なら、とっとと死んじまいなっての。パソコンいじりながら待ってたってな、お前色なんかに染まってくれる処女は絶対に現れないからな。絶対、絶対、永遠にやれないよお前なんか。ギャルゲーのヒロインが非処女だからって怒り狂って不買運動広める様な、薄気味悪い「身の程知らず」のヒステリー。都合の良い事しか妄想しない、貧しくも軟弱な快楽主義のご主人様。メイドなんか居ねえよ。メルヘンなんかねえよ。ドラマなんか生まれねえよ。大した事件は起きねえよ。お前の周りにあるものは、甘えたお前の体臭だけ。只それだけが、漂うだけだ。

それに比べりゃ、俺達ゃまだまだマシだ。運は悪いが、まだマシだ。ふられっぱなしだが、マシだ。ライブに限らず中学生棺桶は、毎回毎回「行きあたりばったりの出たとこ勝負」である。大した打ち合わせも無い。芝居もしない。大袈裟には決してやらない。一体感など欲しかないので、誰にも何も強制しない。こざかしい企みも、さほど無い。のるのらないも、喋る喋らんも、全て気分次第である。これがナマモノ、これがライブだ。これが「粗野」というものだ。これが「吐露」というものだ。これが嫌われるという事。深刻なる「嫌われ者のロック」だ。重い人間のバンドだという証拠を、今後も幾らでも提示してやる。そこに刺激を受けて面白がってくれて、お金を払ってでも、己の知的好奇心に貪欲に楽しんでくれているのが、いつも一人でシッカリ足を運んで来る少数精鋭の有難いお客さんだと、俺は強く信頼してしまっている。ユーモアと知覚の徒だけが自分を支持してくれていると、思い込んでしまっている。また、ふられますか。まだ、ふられますかね。ふられても、別にいいんです。それでも、悔いは無いんです。

今週のおかず五品:
哀悼夜曲/森田童子
電気水母/太陽肛門
病院でGO/ソープ嬢変死
ポストにマヨネーズ/斉藤和義
誰が呼ぶ/山崎ハコ

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