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第五十四回 ここで泣く程、哀れじゃないぜ
朝起きると、携帯電話にメールのお知らせがある。母親からである。 朝とは言え実際は正午過ぎである。メールの内容は、開かなくても一瞬で見当はついた。何せ、このタイミングだ。親愛なる息子がさぞ動揺している事だろうと、遠くからわざわざ「からかいたい」に違いない。 メールを開く。 「ビックリよね。そりゃ当たり前に大人になって幸せになって…。でも、私はあなたが心配です。まるちゃん居るから大丈夫かな…」 案の定である。 「辻希美できちゃった婚」報道を受け、その昔(およそ六年位前が俺の「恋狂い」のピーク。ちなみにモーニング娘。第四期メンバー誕生と中学生棺桶結成はほぼ同時期である)場所も相手も選ばず自主規制ゼロで躊躇も無く、辻ちゃん!辻ちゃん!と大はしゃぎしていた男の、今現在の「落ち込み具合」を、この暇な母は疑いもせず予想し、ご機嫌を伺っているのだった。ちなみに、「まるちゃん」とは言うまでも無く、森迫永依ちゃんの事である(今やってる実写まる子「二代目」は、表情の豊かさに欠けている上に小便臭過ぎて、いただけない。とし子ちゃん役の朝日梨帆ちゃんも好きだったのに、どうせ代わっちゃったんだろ?見てないから知ーらない)。
はっきり言わせてもらうが、俺は全然落ち込んでいない。痩せ我慢で無く、痛くもかゆくも無い。のんが中出しさせていようが、相手がウルトラマンリンチだろうが、実際初めて人から聞いて知った瞬間も「へぇぇ・・・・」としか思わなかった。「そうなんだー」って感じだ。 大体、少女が「貞操」なんぞをいつまでも守り続けた所で、持ち腐れるばかりで何も良い事は無いんだから、さっさと色々経験して覚えて学んで、世の「処女偏愛の気違い」どもを置き去りにどんどん成長し、彼女ら自身ももっと普段から大っぴらに連中を蛆虫扱いしていれば、「裏切られた!」だの「青春を返してくれ!」だのと逆恨みをされないで済むのだ。 元々のロリータ(ナボコフのロリータ)とは違う、生身の女とも少女とも違う、ありもしない「偶像」(要するにドールだな)を自分勝手に追い求める、狂った病人「ロリコン」。十代のアイドルを「天然純粋・未姦通」と当然の様に決めつけてかかり、保護者面しながら「俺色に染めたい・・・」と妄想し、美少女ゲーム感覚の現実逃避だけにいそしむ中年お兄ちゃん・・・その知恵遅れな思想.甘えんぼ体質・無能な自身を棚に上げた大衆臭いプチサディズムを、普段から心底軽蔑している俺(連中に対する強い嫌悪は当コラムで何度もゲロさせてもらっている)にとって、今回の辻加護スキャンダルに対しての自分の今のこの感覚は、別に不思議な事ではない(あいぼんに関してはデビュー当初から、あの内から匂いたつ「悪い女臭」に惹かれ、極端に言うならば「童顔の痴女」みたいなものを常に意識し続けていた俺なので、別段驚きも無いどころか長年の想像通りで納得がいき、只ひたすら「才能ある女の失脚」を残念に思うだけだ)。決して、「恋狂い」の対象が今は別の娘だから、って訳でもない。かつて大ファンだった男の今のこの「心の静けさ」の、その訳は他にある。 砕いて明かそう。 だいぶ前から既に、のんのルックスが自分の「好みのタイプ」から外れちゃっていたのである。 彼女が前髪をスプレーでヘヴィメタルに固め始め、そのままゆっくり凡庸ギャル世界に傾倒し、筋肉質な体を褐色に焼き始めた辺り・・・・もう既にその辺りから、俺の中から彼女への「性的なモヤモヤ」はゆるやかに消えて行き、何年か前にはもう「完全に」失くなったのだ(と言うか、単純に顔変わっちゃったなーとか思ったりして。始めてアサヤンで顔見た時には本当凄い衝撃を受けて、初恋の感覚が蘇った程の「一目惚れ」だったんです)。 そして、「この娘おもしろーい」だけが残り、俺の恋は「コメディエンヌ辻希美への恋」に変わり、そういう方向に惚れ直した(コントでの「頑固ふたすじ」の伸び伸びとした遊びっぷりは最高だった。あれを観てる時は流石に、再度「結婚したくてたまらない気」になった)。 惚れ直したには違いないのだが、そこには熱狂は無く、俺はハロプロ自体にも(曲にうんざり等で)飽き、番組録画も止め、静かに離れていった。確実に老けていった。憧れていた「小うるさいじいさん」に、身も心も進んで染め始めた。そして多分、もう「このまま」少しだけ歩いて、「このまま」でいつか終わるんだろう。
俺は飽きっぽく薄情で、要らないものをどんどん増やしてはポンポン捨てて進む、同情されない男である。ちっとも進んでいないかも知れないし、覚悟だけで他に何も持たないので、たかられもしなけりゃ、祭り上げられる事も無い。人が集まって来ないという事は、つまり、利用価値が無いのである。そのくせ、この口やかましさである。「親しみやすさ」が欠如した、男からも女からも「憎しみやすい」男である。 この鼻持ちならぬ「自意識」。その持ち主、こんな持ち主は、己の醜悪さ(いたらない所)なら何から何までシッカリ自覚している。だから「大丈夫」である。好きな人や好きだった人がどこまでも遠くに行ってしまおうが、「大丈夫」である。 とりあえず母親にも言い返しておいた。 「期待にそえず悪いが、心配無用。あなたの息子は、いつも好きな人がいるし、いつも好きな人が違うので、楽っちゃ楽で、今回は勿論、毎日もそんなにメソメソしちゃぁいませんよ」 実際、俺は田舎の女子中学生と同じ位「熱しやすく冷めやすい」のである。どんなに老けても本質的に、性質的に「少女風」である。 バイクの後ろに乗せられた程度で恋に落ち、鼻毛や目ヤニを見つけた程度でゲンメツするのだ。そんな男の恋だ。すぐに終わるし、つまりそれは、いつまでも続くという事だ。
今週のおかず五品: LEAVE
ME ALONE/MICHAEL JACKSON WILD CHILD/穴井夕子 TBS(TOTAL BASTARD
SITUATION)/PUNKU BOI BAMBI SLAUGHTER/FECAL MATTER BE BOP A LULA/LAST
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