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第五十八回 夜の夢以内の贅沢
ある日ふと、ギターのリフがいくつか浮かび、構成が浮かび、次にベースリフを考え、乗っかる唄(メロディ)は毎度ながらすぐ浮かび、最後に歌詞を考え、それで曲が一つ出来上がる(ドラムパートは最初のリフが浮かんだ時点で同時に頭ん中で鳴っている)訳です。毎回、大体二日三日でまとまります。しかしながら、歌詞はやはり時間を食います。「調子に乗れる限り言葉遊びを試し続ける」からです。そして曲名も随分と食います。名前だけはいつも、つけてもつけても気に入らない。良い「ひらめき」が来るまで、ジーっと待つ事になります。 つい最近また、このいつものパターンで一曲出来ました。で、メンバーを呼びつけて集め、いつもの様に一人ずつ一人ずつ伝えます。隅から隅まで伝えます。「つまりはこんな感じだからどうか宜しく」と。そうやってオケの準備が済んで、それからやっと自分のシミュレーションの番が来ます。自分一人で弾きながら唄うのと、周りに音を出してもらってその上で唄うのとでは、だいぶ違います。なので、弾いてもらいます。唄ってみます。そうすると、色々、発覚します。その諸々の「気に入らない所」を、チマチマ直します。小うるさく直させます。唄(メロディ)は唄う度にいつも変わって行ってしまうので、その内で最も唄い心地良いのを「この唄の一応の基本メロディ」として、どうにか記憶します。曲名はおいおい固定させるとして、唄ったり帳面に起こしたのを眺めていると、歌詞もやっぱり何だかしっくり来ない。で、明け方まで粘った挙句諦め、明日また考えようかなと。寝ちまいました。 そしたらば、もう長い間ずーーっと好きな女の子が、夢に現れました。芸能人です。正確に言うと、芸能人「だった」人です。煙草と援助交際(みたいなもんだろアレじゃ)発覚で首切られた、あの娘です。 目が覚めてサア大変、頭の中は彼女の事でいっぱい、余韻でボンヤリです。そのまま昨日までの歌詞練り作業を再開します。すると案の定、見事に言葉は総入れ換え。まさしく彼女の唄になってしまったのでした。 別に隠す事じゃないのでハッキリ言ってしまいますが、我ら中学生棺桶の曲で、紛れも無くあの娘の事を唄ってる曲、今思い出せるだけでも三つあります。「伝染源」という古い曲と、「ないものねだり」という最近の曲と、今回ので三つめ(もしかしたらもっとあるのかも知れない)。 今回だって当初は「根暗画面」って曲になる筈でした。事実、その様に出来かけていたんですから。内容は・・・・まぁいつもの感じっちゃいつもの感じで・・・・「肉なんぞ奢りで済まして、むしろくっさい陰部でこそ酔っ払って踊って、見透かされて笑われて、それで関係を知り尽して、その繰り返しに興ざめして、いくら酒呑んだ所で只ひたすら無力な、根暗画面が今夜も嫌な汗でテカってますぜ」み・・・たいな内容だったんですが、もうそんなの全部ボツですよ。「やめ!」ですよ。「なし!」ですよ。久し振りに見たあの娘の夢のせいで、夢で俺を散々ドキドキさせた(セックスはしてません。「甘酸っぱさ」のみです)あの娘のおかげで、歌詞は笑える位スラスラと、すっかり書き直されてしまいました。面白いですねー。凄いですねー。やっぱりあの娘、月並みな表現ですが、偉大なる、可哀想な大悪魔。恋しちゃった沢山の人達も皆、もう失恋すら出来ないまま、今までもこれからも夜の夢だけでときめいて、可哀想。 って事で、また今回も「泣き」の曲に上がりました。またしてもせつない。どうしようもない。ひどいですよコレは。あ、コレ「も」か。
「底なし沼似」という唄が出来たんです。話はそれだけです。 しばらくはライブで「ないものねだり」(←現時点でもう既に今度出るアルバムのテイクとはアレンジ変えて演奏しちゃってますが・・・・だって録音したのが四月の頭だから、それなりにもう時間経ってるし・・・)と共に、やり続けるんじゃないかなーと思います。どうか皆さん、聴きに来て下さい。聴いて、「あー・・・・こりゃ深刻な人だなぁ」とか思って頂いて構いません。深刻な唄ですから。深刻な恋ですから。
今週のおかず三品: 落ちてゆくだけ/スキャッツ BAD
GIRL/MADONNA GOIN' BLIND/KISS
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