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第七十五回 裸になれば それまでだ
ごく身近な人や同業者(バンドマン)の友人から、前回の当コラムの内容への「断固支持・強く同意・まさに共感」の声が、続々と俺の元へ直接届いている。なあんだ、やっぱり皆そう思ってたんじゃないか。案の定、である。 いいかげん誰かがそろそろ、言ってあげなきゃいけなかったのだ。で、いつもみたいに俺が口火切ればいいんだろうよ。きむすめ葉蔵だけが、中学生棺桶だけが、短気で偏屈で口うるさい頑固者として、プライベートも無く思い遣りも情け容赦も無い「薄情な観察公開者」「煙たい存在」「意地の悪いオシャベリバンド」として、厄介がられて距離を置かれてしまえば、そうして俺だけが(訴えを隠さずに喋る事で)損をすれば、それでいいのである。
要は「わざとらしさ」の問題なのだ。バンドマンは、精神紹介者は、思想提示者は、己の身の丈に合わないキャラクターなんぞを必死こいて「演じて」はならないのである。どだい無理があるのだ(資質が「真逆」なものに成りきろうとするのだけは止めといた方がいい。絶対!成りきれないから)。マッチョなアピール・アプローチなど、(ヤンキー上がりのエセパンクじゃあるまいし)「思想ありきバンド」には全くもって不要(バンドの「攻撃手法」として不要!稚拙!無力!であると俺は言いたい。はっきり言って逆効果。一層なめられるだけ)、普段のままで良いのである。 だって、普段の方が魅力的じゃないか。勘違いの無い人格も、素の状態でしっかり(いい意味で)不適なルックスも、人との接し方も、落ち着いた物言いも。近付いてアレコレ話したくなるじゃないか。「いい男」って感じするじゃないか。好きになってしまうじゃないか。好きになっちゃったじゃないか(未だ嫌いになんかなれません)。 なのに、楽屋から舞台に上がった途端!コロっと役者の様にあざとく「荒くれ者」ぶるから(これ見よがしに「粗暴で態度悪いキケンな俺モード」スイッチオン!するから)、わざとらしく、いやらしいのである。色々ちゃんと考えて普段生きているだろうに、ことバンドでの振る舞いに関しては、相手を選ばず(敵味方を区別せず)、場所を選ばず(「勘違い猿」からの「勘違いな誘い」でも断らず)、だからこそ周囲に疑いを抱かせるのだ。「単なる喧嘩好きか?」と。「偉そうなマゾの肉体自慢か?」と。「ごたく(文面)はカモフラージュで、実は只ひたすらにストレス解消だけか?」と。
「わざとらしい破壊&暴力を良しとする振る舞い」、バンドマンならば(現世に対して本質的に「反逆」を試みるパンクスならば尚の事)、控えるべきだ。どれだけ思索していても、そこへ傾倒するだけで、全て無駄になる。何も伝わらない。ろくな人間が寄って来ない(暴力馬鹿,及び、何も聴いちゃいない雌豚,自称キワモノ好きのサブカル崇拝狂人気取り男女,その類からの「糞だせえ支持」しか得られないだろう)。何も生まれない。何も生まれない・産み出せないって事は、当然、「自主独立」出来てないって事だ。革命はおろか創作ですらなく、もし「只の欝さ晴らしなんだから、他は別にどうだっていいよ」とぬけぬけと言い訳するのならば、表現とも呼べないだろう(その言い訳を肯定したら最後、そのバンドには精神性は皆無、微頭微尾「肉体的」である)。 そんなバンドから偉そうに威張られたり皮肉めいた事を言われりゃ、何処の誰だって腹も立つさ。曲がかっこ良かろうが、声が良かろうが、幾ら普段は落ち着いてちゃんと話が出来る「健康で真面目な人間」だろうが(だから俺は絶対に嫌いになんかなれないのだが)、無条件には支持も肯定も出来ない。ライブも見たくない。一貫してコミックバンドさを貫く(美学?いや思考停止なだけだろう?という声もあるが)「全く無意味な白塗り扮装ギター」を従えたままの図々しい逆ギレ暴力誇示、それだけのライブ、見ていてもしょうがない。
この辺でそろそろ、あなた(当コラム読者)に笑って欲しくなってきた。「演じる」という事繋がりで、もう少し明るい話に変えてみよう。(先に言っておく。俺は演じたくない) 今月18日、新宿ジャムで、セシルちゃんという魅力的な女性が主催する企画に、またも誘われるままホイホイと(連続三度目)出演するのですが、今回は中学生棺桶としてのバンド演奏とは別にもう一つ、これもやはり、誘われるままホイホイと引き受けてしまった事がある。 それが、何を隠そう「小芝居への加担」である。つまり、自分以外を「演じる」というのを、役者でもないのに、パンクバンドのフロントマンの俺が、やらなきゃいけない・・・やらなきゃいけなくなった・・・やらなきゃいけない状態に自ら追い込んでみたのだ。いや!大袈裟な事を言っちゃいけない。未経験のものにはとりあえず惹かれるという「無邪気な好奇心」のみで心ときめかせ、軽ーいノリで引き受けた、という依頼。に、違いない。 様々な人に見てもらわないとしょうがない(内輪の友人だけを相手に無料で毎回ライブを見せ、見知らぬ誰かを相手として意識せず、自分の創作する世界や信じる思想や貫く戦い方をまるで広めようとしない、怠惰な学生ノリ呑み会ノリヒッピー感覚バンドも、俺は嫌いです)ので、宣伝も兼ねて、その内容を軽く説明しよう。12/18のそのセシル企画の裏タイトルが「大人の為の子供ショー」であり、つまり、デパートの屋上でありがちな(昭和の頃は盛んだったが果たして今も遊園地以外でもやってるのか?そういう、いわゆる「ヒーローショー」って)・・・・・・舞台で司会のお姉さんが挨拶する→子供騒ぐ→お姉さんが「皆で大きな声で〇〇マンを呼ぼう!」と子供の興奮をあおる→子供喜ぶ。〇〇マーン!!と叫ぶ→〇〇マン来ない。代わりに怖い音が鳴り、怖い曲が流れ、悪の怪人(不気味な戦闘員を二・三名従えて)が高笑いで登場→お姉さん慌てる「ふり」をする→怪人が舞台からのしのし降りて軽く客いじりする。子供脅える(泣き出す子もチラホラ)→お姉さんもピンチ(のふり。わざとらしく)→そこへ流れるヒーロー主題歌。「そこまでだ!悪党!」の声→怪人「誰だ!」→ヒーロー颯爽と登場→子供大喜び→正義VS悪の殺陣(たて)→怪人退散→子供喝采→ヒーローのくせに\500取ってサイン会・・・・・・を、やろうという訳である。無論、俺は怪人役でのオファーに承諾したのだ。怪人(幹部クラス)用の着ぐるみも俺のアイディア通りの「アンチ・サイバー」なデザインで発注、司会のお姉さんも普段遊園地を回って営業している「本職の人」に頼み、ヒーローショーをヒーローショーのままに再現、思い出深いであろう大人達相手に、懐かしく披露。の、予定だ。 面白そうだろう?俺が話を聞いてそそられたのが解るだろう?しかーし!!この「司会のお姉さん」が、(一度だけ顔合わせをした)俺は実は切実に真剣に・・・苦手なのである(美人なのだが生理的に感覚的に親しみが湧かない。絡む事にすら強い抵抗が・・・)。その上!ヒーロー役の人(セシルちゃんの旦那:ミサイル君)が「殺陣を本職の殺陣師(と言うか、当時のヒーローショーで実際にギャバン隊長やチェンジペガサスとしてヒドラー兵相手に戦い舞っていた、元コンバットスーツアクターの人)に振りを付けてもらって本格的にやりましょう!」などと爽やかに言い出し、只でさえ棺桶バンド演奏直前(出番が)、只でさえ何よりも苦手な「演じる」「自分の意思を滅却し、他人の言われた通りに動く」という行為、殺陣を覚える余裕など俺にあるのだろうか?ある訳無いのだ。18日、普段大した緊張を知らない俺が、この一日に限り、余裕の無さばかりが露呈します。の、予定。
即、撤回。18日もいつも通りで行く。普通に、葉蔵として愉しむ(着ぐるみを纏って動く事を)。もう一度言っとくぞ?俺は役者じゃねえんだからな。18日は棺桶のライブだ。ライブで人の言いなりにはならん。なってたまるもんですか。俺は俳優とは違う(一切演じない・演じた事が無いなどと大嘘はつきませんが、そんないつもいつも演じてばかりいたら間違い無く普段から信用されなくなるので、過剰なのは、しない)「バンドマン」なので、極力、自分自身そのものに近い「嘘臭くない振る舞い」を心掛ける。と言うか、そうさせてもらう。 舞台の上だけではない。普段から、だ。
今週のおかず三品: VIRGIN KILLER/SCORPIONS 偽造人間/ミヤマGt. BULERIAS/CARMEN ↑ページのトップに戻る↑
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