第八十二回 今度は四コマ漫画だ!の巻

林さんが我々に内緒で、ブログをやっていた。随分前から、やっていたのだ。コソコソと、やっていたのである。
誰にも明かさず、我々にも明かさず、しかも!我々(中学生棺桶及び棺桶周りの友人達)の言動をもネタにした「四コマ漫画」(もぎたてバナナ大使ばりのイニシャルトーク展開ではあるが)、という形を取ったブログを!…である。去年の夏頃からだそうだ。全然知らなかった。考えてもみなかった。パソコン環境に恵まれない我々一同(そもそも林さん本人もパソコンなんか持ってなかった。「仕事で使う様になったから買った」というのが、ちょうど去年夏位の話だった)、誰も気付かなかった。まさか、そんな、の話だった。
つい先日、本人から告白を受けるまでは。

あらためて説明・紹介する。
「林さん」とは、中学生棺桶結成当初から何かとお手伝いをしてくれている、我々の唯一のスタッフである。常連のお客さんはよくご存知だろうし、直接話した事もあるんじゃないかと思う。棺桶のライブでいつも物販席に座っている、ラクダの様な長いまつ毛の目が出っ張った細身でヒョコヒョコ歩きの……三十路のおネエちゃん、それが林さんである。中学生棺桶の「目印」の一つとも言える告知チラシや、CD・DVDの表紙裏表紙、今までのその全てのイラスト(似顔絵)を手掛けているのも、林さんだ。もう六年も、様々な事で世話になりっぱなしである。
一応断っておくが、林さんは俺の情婦ではない。我々棺桶メンバーにとって林さんは、林さんである。男でも女でもない、最早それ以上、誰にも代わりは出来ない大切な存在だ。「林さんは林さん」、それ以外の何者でもないのである。そして完全に「身内の人間」、つまりは換えのきかない「家族」である(彼女もこちらに対して同じ気持ちでいるだろうという自信もある)。親兄弟の様に「自然で親しい付き合い」を、林さんと棺桶はもう何年も、続けているのだ(集合し易い様にと、全員の住居も常に近距離である。林さんはもう何度も引っ越ししているが、何度引っ越そうが常に棺桶のご近所さんである。お互いの退屈しのぎの為にも、それは今後も変わらないだろう。そもそも家族なのだから離れる事は不可能なのである。大事な女性である。大切な林さんである。で、その林さんが何故によく引っ越しするのかは……今から話す)。
だからこそ見えてくる(知っている)のだが、林さんは兎に角!もてる。棺桶の側近になる前も、なってから現在に至るまでもずっと、もてまくっている。常に、もてている。羨ましい限りなのだが、常に「新鮮なセックス」をしていそうな私性活が、伺えるのである。常に!である。常に!その背後には数人の中年男の影が(そして!出来立ての面白エピソードが)、あるのだからそりゃ小忙しい。
林さんは「サバサバした女」って訳ではないし、決して「ブリブリした女」でもない。極端に(やや誇張して)言うなら、スットンキョウな感じである。細い体で本当にヒョコヒョコ歩くので、物真似がしたくなる程にコミカルな「独自の雰囲気」がある。ペンギン…と言うよりもむしろ、地球とは別の惑星の「珍獣」の様な佇まいである(ひっつめ頭にパーカーのフードをかぶせて自転車のカゴに乗せて不安そうな顔をさせたら、可也の「ETっぽさ」である)。しかーし!もてるのだ。確実に、現実として、ちゃっかりもてている。
あえて露骨に、且つ少し大袈裟に言うが、俺の仲良しの男友達の中の「色っぽい男」、その「大半」と、林さんは何度かヤッている筈だ(実名を羅列する事も可能だが伏せておいてやる。俺は男には優しいのだ。林さんに対しても鬼にはなれんのだ)。更に噛み砕いて言おう。要するに林さんは、俺と「好きな男の趣味」が似ているのである。棺桶との対バン等で知り合い、初対面で俺が「あー、この人かっこいいなぁ」と思って好きになる、まっとうなバランス感覚によるまっとうな人格とユーモアを兼ね備えた「いい男」は、我々と知り合ってから少し経つと必ず!(必ず?いや…まぁ…大体だな)林さんと情事に及んでいる……様である。これは勿論、俺にとっては悔しい事でもある。いくら男を好きになっても女の体を持たない俺は(「オンナな技」を使えない俺は)、毎度毎度、出し抜かれた気分である。
しかしながら、ここで林さんの名誉の為に(事実なんだし)早急に更なる詳細で補足しないといけない。林さんはいつも、本当に毎回毎回、「向こうから言い寄られている」のである。ツッパっといて結局は男依存の低脳バンギャの様な「みすぼらしいベッタリ&コビコビ」を林さんが仕掛けている所など、俺は一度も見た事がない(いわゆる「だめんずうぉーかー」を林さんは十年近くも前の昔にとっくに実質卒業している)。林さんはいつも、言い寄られている(自分から探りを入れる事もあるらしいが)。羨ましい事に、俺までもが惚れてしまう様な「退屈させないかっこいい男」の方から、モーションを「かけられて」いるのだ。で、魅力的な異性から接近されて促されたら、そりゃアンタ喜んでヤるだろう?そこで拒否るなんて、贅沢且つ損だろう?処女や百合や潔癖ぶった自称乙女や、まして聖職者じゃねえんだから、そんな「チャンス到来」に、ガチガチに固まったりなどしない。俺だって、余程のナンセンス女じゃない限り何度でも何人でも遊ぶ。暇を潰したいのだから、好奇心で誘いにも乗る。据え膳食わぬはナントヤラ、である。どうせかく恥ならば、渦中に飛び込んでか
ら、かきたい。その方が勉強になるに決まってる。だから、林さんは特に間違ってはいない。俺もまた同じだ。

で、その林さんが「漫画ブログ」というのを始めた。シコシコ続けていた。これは以前から本人が話していたので知っていた事だが、林さんは学生の頃からずっと、漫画が書きたかったのである。似顔絵だけでなく漫画を、人の目に触れる場所で。ネタはいくらでもある。何せ日々、中学生棺桶などというバンドの一番近くにいるのである。退屈な連中及び阿呆に取り巻かれる事のない(集まって来ない)、真剣にオシャベリして晒け出そうとする人間達の名エピソードには事欠かない、それが我がバンド周辺の空気の「自慢」でもある。勿論林さん自身も「女に幻想を抱くな!私はこんなもんだ!あんたらもこんなもんだろう?さあ笑ってくれ!」と言わんばかりに、己の昔と最近とをお見せする気でいるようだ。あとはテンポと画力と記憶力、そしてその創作公開に「飽きない」事である。
けれど今の今まで、それは内密に行われていた。何故に半年近くも、ネタ提供者である我々に黙っていたか?それは勿論、この俺が日常的にいわゆる「ブロガー嫌悪」をこの場やそこかしこで強く公言・誇示しているからだ。こんな反大衆・反流行の危険思想を掲げるカミナリ爺さんには、そりゃ言いづらかろう。
しかし!何度も言う様に俺が日々嫌っているのは、ネット「依存」の名無しの「表現者気取り」の「才能なし」「覚悟なし」「便所の落書きを日課としてそれで気が晴れる程度の低脳人種」の現実逃避豚の群れであり、つまり、そこらの不和雷同好きの没個性学生辺りが俺もアタシもと書き込む「皆やってるし友達や恋人も増やしたいし」という動機でしかない「面白くない坊ちゃん嬢ちゃんによる面白くない自分アピール」のタレント気取りナンセンスブログ(本来ポケット手帳にでもメモする様なレベルの、他人に「さぁ!読んで下さい!」と提示するものとは程遠い、全然面白くも何ともないナル子ちゃん達のクッダラナイ「思慮の浅さ自慢」)も含めた、本当にどうでもいい何でもない一言を書き込む為にパソコンに向かう様な「病人」ども……に過ぎない。それらの事をいっしょくたにまとめて、俺はあからさまに蔑視・愚弄・差別して小馬鹿にしている訳だ。「みすぼらしいからよせ!」と。「大学ノートに書いて親にだけ見せてろ!」と。「気付けって!お前つまんないから!!」「センスないから!」「才能ないから!」「何もしてないお前らなんかアイドルじゃないから!!」と。「たまにゃパソ閉じて外出て経験積め!!」と。要するに、いくら流行ってるからって何の持ち味も武器もない「無能の徒」までもが便乗・依存するのは、いかがなものか?と、俺は言いたいのだ。わきまえろ、と。お前らのその流行依存は、滑稽だぞ?と。

林さんのを読んでみた。ちゃんと面白かった。何しろ漫画がメインである。才能を感じた。描けるんじゃんと思った。だから許可しました。削除の必要なし!我々を出す事なんか、イニシャルなんてまどろっこしい事せずに実名で一向に構わないし(棺桶ファンも愉しめるだろうし)、「俺達もっと普段面白い事言ってるだろ!もっと面白いだろ俺達!だからアレもコレももっと描きなよ!もっと色々あるじゃないか!全部思い出してよ!ばらされて困る事は我々には何もないぞ!好きに晒しなさい。そして!笑ってもらおうじゃないか」と、皆で激励、応援する事にした。聞けば、評判もなかなかよろしいとの事だ。良かったじゃないか。話題になれば書籍化も……それは流石に言い過ぎか?夢のまた夢なのか?その辺どうなんだ?掴み取れ!淫税生活(ブログ本ってのは今売れるらしいからな)!!やってやれ林さん。もっとやれ。どんどんやれ。躊躇なく、「ハヤシさん」を知らしめろ。
そして!俺が貸してあげたウン十万(この借金の理由も男絡みである。面倒な男には深入りするなと日々忠告しているのだが…)を、返済するのだ!DANCEするのだ!!

話は以上だ。
我々中学生棺桶も登場する「林さんのシモーい四コマ漫画ブログ」(ものの見事に下ネタが大半を占めてます)、アドレスはこちら。是非、一読を。退屈はさせない出来である。当コラム同様の「露悪根性&サービス精神」があると、俺は今ここで断言しておく。
まぁ、読んでみてちょうだいよ。↓↓↓

http://nozomi613.blog98.fc2.com/
(※タイトルは「ペロさんとマモル君」です)

今週のおかず三品:
FREEDOM OF CHOICE(のPV)/DEVO(編集注:YouTubeで見られます。→コチラ)
UDU WUDU/MAGMA(※林さんがうたた寝こいてる部屋でマグマをステレオで流すと、林さんは必ず起きて「怖いから消してくれ」と訴えます。同様に、コーマスも怖いらしいです)
Big Joke/安全地帯

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