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第九十四回 或「汚か知ら?」の一日
北海道のバンド「あざらし」のボーカルでありバンマス(作詞作曲総監督):腐れめぐ子が、久しぶりに東京へやって来た。 やって来たのだが、「くっさい都会でスリに遭い、食うものも全て不味くて嫌な思いばかりした。うんざりしたのでもう帰る」と言う。そこで、そんじゃあ最後にほんの少しでもいい思いをさせてやりたいという兄心(ムチムチのエロ賢いオンナを自分の縄張り内で連れ回したいという下心も当然あった)で、一日、手っ取り早く高円寺を案内する事にした。
レコード屋を回り(邦楽コーナー以外まるで眼中にないめぐ子。相変わらず陽水の二色の独楽以降のアナログをCDで買い直そうと探すがやはりそうは見付からないので諦めの笑みをたたえる俺)、勿論アニマル洋子にも寄り(店主と立ち話。めぐ子が立ち読みしてる隙にジャッキーチェン話)、ボソボソ喋りながら右へ左へ練り歩き(次々と目に入る「高円寺らしからぬ乗っ取り野郎によるキラキラした原宿風の店」の悪口等)、無難な店で焼き鳥を食い(手堅い店を選んだので旨そうに平らげてもらう事に成功)、彼女の希望で缶酒片手に広めの公園に入りブランコに乗りながら… ●「とりあえずスターリン好き!って言ってりゃ玄人寄りだと思ってそれっぽいインスタントビッチルックでそれっぽいバンドに参加してるだけで曲も唄も作らず作れずろくにバンドに貢献してないくせに偉そうにロックだパンクだ一丁前の淫売面と糞デカい態度で図々しく暮らして彼氏がバンドやめたら見事に即やめやがるヤンキー同然の『腰掛けファッションパンク女』がキライ!よくいるそういう無能女とは一緒にバンドやりたくないし寄って来られても迷惑!!」みたいな話 ●「わざとらしく何かしら欠けた少数編成のスッカスカの音で唄心のカケラもない初期衝動っぽいノイズ歌唱と天然ぶった振る舞いと貧乏臭くもあざとい普段着の装いこそがパンクでサイケでアシッドでアートで本物で至上として安っぽけりゃ安っぽい程にマイナー臭さが強けりゃ強い程に価値があると言わんばかりにそういう似た様な四畳半めいたバンドばかり無差別に有り難がって誉め讃えて応援しながら俺は中央線サイドのロック通の人間だみたいな面してやがる(いちいちジメジメ思い悩んで陰湿でも一所懸命真面目に作って執拗に差別意識とムカつきを唄い続けてたらそこそこ名が知れる様になった我々みたいなクドクドしたロックバンドを含め、わざとらしい長髪でもなくお人好しのヒッピーでもなく懐古止まりな初期パン偏愛もなければ「雑音吐露が尊いのだ」的なスカム風味もないしインテリ臭い玄人気取りどもをもれなく騙せる「ジャズいアレンジ・アプローチ」も皆無で過去の栄光も伝説もまるでないけど堂々毅然としたロックバンドに対しては、斜めにチラ見だけして冷笑して毛嫌い・敬遠してやがる)レコ屋・バンド小屋・レーベル・そういう中年の一派やシーン自体がキライ!!!」みたいな話 ●「物壊すぜ。散らかすぜ。マイクで自分殴って血流すぜ。客席で筋肉ひけらかして暴れ回るぜ。事さらに舞台から喧嘩売って少しでも空気悪くする様心掛けるぜ。それよりも何よりも俺は終始不機嫌で無愛想で感じ悪い危険な孤高の男なんだぜ。…で、だから何?それだけ?曲は?唄は?優先順位はどっちが先?創作のセンスがないからってそれ以外への武装固めに逃げるのは凄く格好悪い以前にバンドとしてどうなんだ?真面目に作る人間がそんなバンドに惹かれる訳ないよ。キライ!」みたいな話 …などといった類の共通嫌悪・不平不満を吐き出し並べ合い、小雨の降る夜の公園でなかなか盛り上がったのだった。(※念の為に注釈を付け加えるが、嫌悪を示す・否定する・文句を並べるのは誰でも出来るのだ。但し当然、否定する者は必ずその「代案」を提示しなければならない。つまり創作及び発表という形での「行動」で示し返さなければいけない。筋として必ずそうすべきである。ゆえに我々はしている。バンドで。「唄そのもの」で。全くしていないしおそらく未来永劫出来やしないのがネット掲示板に群がる小蝿の徒党や自称ライターみたいな口だけ連中である。連中による罵倒・不平不満・否定とやらは「片輪者の野次」に同じである。野次止まりギャラリー止まりであるがゆえ、我々の「反骨」「反逆」「戦争」との雲泥の差は明らかだ) 古い付き合いながらもあらためて意気投合したその後は、事前の約束通り、小汚いカラオケ屋に入った。二大「過剰声量ボーカリスト」による初のデュエットを含む、燃えざるを得ない、飽きの来ない「唄合戦」である。 聴衆がゼロだったのが、非常に不本意と言うかもったいないと心底思った。ちなみにこの夜の我々の同盟的「かけ合いナンバー」は、バービーボーイズの「三日月の憂鬱」「勇み足サミー」,石橋貴明&工藤静香のエロエロバブリーチューン「A.S.A.P.」,等である。周りで話について来れる人が他に一人も居ない程に生粋の「うる星やつらファン」である我々二人は、ラムのラブソング以外(更に厳密に言えばステファニーの二曲も省く)の歴代うる星主題歌の「合唱」も敢行した。マイクなど最早必要としない。兎に角、揃って声がでかいのである。 も一つついでに明かすと、この日の僅か一週間前に俺はめぐ子にバービーを仕込んだのだが、そんな短期間に関わらず(つまりめぐ子にとっては初バービーだったに関わらず)、そこは杏子ばりの猛々しい唄い手である彼女なので、予想通り、しっくり来ていた。今まで散々コンタをやって来た俺だが、それでもこの日のバービーは思い出に残る「名バービー」だった。
お互い、世間様に盾ついた暗ーい「個人的ロック」を制作&披露しながらも、二人揃って「インディーパンクシーン不信」が強いという話は前述の通りだが、その一方「歌謡曲への偏見」はゼロであり、むしろ「良い唄」「悪い事したくなる唄」ならば、時代もジャンルも無差別に心酔・敬愛及び嫉妬する様なタイプの「唄びいき」なバンドマン…つまりはボーカリストなので、二人で同時に喉を酷使し合う男女ツインボーカルの歌謡デュオバンドの「結成欲」も、お互いにない事はないのだ。 いつか実現するやも知れないそのバンドの見参のその日を、熱い支持者の皆様はどうか静粛にそして気長に待ちながら、今はまだ想像だけでお愉しみ頂きたい。
そして、我が中学生棺桶の新しいCD「告白を強いる伝染源」も、どうかもう少しお待ち願いたい。どんなに遅くなろうとも十一月には、そちらに届く筈です。是非、入手そして愛聴して下さい。して頂けたら幸いです。
今週のおかず三品: 夏の二人(アルバム「義眼」収録テイク)/マリア観音 NO
MESSAGE〜NEATZ BRIGADE(二曲繋がってるライブテイク)/THE OBSESSED 恋のメビウス/リッツ ↑ページのトップに戻る↑
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