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第九十五回 まだまだこぼれる俺の弱点と要塞(前編)
自分の頭頂部には割と目立つ所に、横一文字に10センチ程の傷跡があります。髪の毛もそこだけ生えて来ません。触れてみても感覚がありません。けれどごくたまに、うっすらとですが、痛みでうずく事もあります。未だにです。 そうです。「未だに」なんです。だってこの傷は、14歳の時に出来た傷なんですから、もう15年以上経っているんですから。古傷も古傷なんですから。
古傷ですが、格好良くも何ともない古傷です。何故なら、喧嘩や虐待や人助けや自傷パフォーマンス等で負った傷ではないし、「闘争に首を突っ込んで巻き込まれたり…」や「命そのものを狙われ存在そのものを抹殺すべくさらわれて…」等から見事に生還を果たした勲章としての傷でも、勿論ないからです。そういうアレではないんです。まるっきり違うんです。 ちなみに、そういう伝説じみたものや深刻な過去を、つまり、いわゆる「大威張りで語るより躊躇するのが当然の話」「語られても困るし気の利いた返しを絶対してあげたくない話」「わざとらしく出来すぎた薄ら寒いバックボーン」「安直に安易に無抵抗にひきずられたトラウマ」「安いドラマに影響を受けてでっち上げたケータイ小説風の深刻ぶった陶酔ネタ」等々その手の類を、自分は一つも所持していません(はっきり言いますが、元ヤン威張りのマッチョ主義「オレ様野郎」も、メンヘルメルヘン居直り「不幸誇示大好き孤児気取りちゃん」も、両方とも自分は嫌いです。両者は「只の安直なる酔っ払い」という点で同類であります。苛々するので顔も見たくないです。と言うかツラ見りゃ可能なんだからな?どっちだか或いはどっちでもないかの判別ぐらいは)。 そんな類の話・そんな類の過去なんかよりも、自慢すべきは、ひけらかすべきは、深刻ぶったしかめっ面を殊更に作って見せる必要もなく笑って披露出来る「漫画的」且つ「現実的」な過去である。事実である。「出来過ぎているがゆえの嘘臭さ」が皆無だからこそ笑える、現実なのだ。そっちの方をこそ喋りなさい。明かしなさい。自室や宴の席での酒の肴にでも底上げしなさい(自分は日頃頻繁に披露させて頂いてます)。と、自分はそんな風にさえ思っています。 そもそも、自分が歩いてきた道・思い出・好んで身を置いた場所は全て(現在特に親しくしている人達の人柄も勿論含む)、いつだって何処かコミカルでした。エンタ芸人及びイケメン芸人(というジャンルに依存しきってぬくぬく暮らしている「成り上がりゴミ芸人」を指す)の様なチャラさ・くだらなさ・ジャンプ放送局レベルのノリは、当然ない(絶対にない!とその点には自信持ってます。今現在は勿論どの過去を思い起こしても、です)にせよ、次から次へと誤解を与えたりあからさまに小馬鹿にされるのは、やはり仕方ないのかも知れません。 卑しく、笑ってばかり。笑わせてばかり。「とりあえず何よりまず格好良く見える様に…」だの「恥ずかしいアレやコレやソレは上手〜く隠して虚勢張ってやり過ごして…多方面からモテます様に…」だのと健気に願っては心掛けるあまりに「気取り」にばかり力や術を注ぎ込むよりも、そんな事よりも、そんな方向よりも、自然に笑いをめがけてしまう。(しかしその「笑い」自体もカモフラージュの一種である事には変わりないので)それゆえに後悔したり大損したり、悪趣味にも、それ(己の失敗・失態)すら愉しんだり、なのである。真面目と不真面目。メリハリ。バランス。 けれどバランスなんてものも、気にされなければ(伝わらなければ)、葉蔵とか名乗ってるこの男も中学生棺桶なんてバンドも、その周りの「見知らぬ人達」「見知らぬ世界」全てに対する、単なる「いけにえ」止まりだ。 だ、けれども別にその事に関してはそこまで悩んじゃいないんだから、おめでたいと言えば、まぁ、めでたいな。
さて、これだけ長くダラダラ引っ張って「…で、じゃあ葉蔵お前、その頭は何処でいつ何で怪我したのかえ?」と。 もったいつけといて一気にここで拍子抜けさせたかった訳ではないんですが(いや!嘘は言うまい!正直そういう意図もありましたよ)、要するにまぁつまりはっきり言ってしまえば、この傷、「ドロケ」(地方によっては「ケードロ」と呼んだりもする、つまりは「追いかけっこ」的な遊び)の最中にこさえたものです。いや、違ったか?違ったかもな。ドロケじゃなかったかもな。「ポコペン」(いわゆる缶を使わない「缶蹴り」であり、つまり「追いかけっこ」である)だったかもな。ポコペンの最中だったかも知れないな。かと言ってどちらでも同じだな。どちらにせよ「鬼ごっこ」の最中だった、って事には違いない。「鬼ごっこ」で、大怪我したんです。したんですよ。 つまり、だ。 14歳の貴重なる「恋してアレしてナニすべき思春期」に関わらず自分は、田舎の中学で異性の目も憚らず、よりにもよって「鬼ごっこ」で昼休みの時間をフルに浪費、校舎の外周りを童貞仲間達と一丸となりキャッキャキャッキャと駆け回っており、ある日のその最中に非常階段の裏側に身を潜ませている所で追っ手の気配を感じ、振り向きざまに若さ溢れる瞬発力で飛び跳ね気味にダッシュで逃げようとし、そのまま目の前の非常階段裏の壁の角っこに強く頭を打ちつけ、血を吹いて(頭なので沢山出ます)倒れたのだ。
(次週へ続く)
今週のおかず三品: THE
BOGUS MAN(「VIVA! ROXY MUSIC」収録ライブテイク)/ROXY MUSIC DARE TO BE STUPID(のPV)/AL
YANKOVIC(編集注:コチラで見られます) ゲゲゲの鬼太郎1987年オリジナル劇場版「激突!異次元妖怪の大反乱」、のビデオ(勿論レンタル落ち) (※真っ昼間から部屋で一人で全裸で扇風機かぶりつきでボーッと見てたんですが、ねずみと幼女の儚い恋に涙ぐんでしまいました。本当に。我ながら涙腺がか弱過ぎだと思います。あと、黒幕である「謎の妖怪皇帝」ですが、首の色と青野武の声で序盤から正体バレバレでした。それから、「原作者の水木先生も登場するよ」ってパッケージにわざわざ表記がありますが、登場するんですが何故か両手ちゃんとありました…) ↑ページのトップに戻る↑
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