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第48回 郵政資金の行方
大ざっぱではあるけれども、高度経済成長期は夢を語る総理大臣の支持率が高かったが、ある程度成熟社会に入ってから、だいたい80年代以降、内閣支持率というのはルックスのよさに比例している。その極みが小泉首相なのだが、好き嫌いは別として過去の中曽根、福田、佐藤、池田といった首相はめちゃくちゃ頭がよかったし、夢を語るということにおいては田中角栄はずば抜けていて、功罪あるとはいえ中央と地方の格差を縮めた手腕を見ると頭もなかなかのものであったろうし、何よりその時代の首相は器が大きかった。それに比べて、小泉首相を筆頭にここ最近の首相たちのレベルの低さといったら、いったい日本はどうなってしまったのだろうかと思うほど脳みそも器も小さすぎる、と私は思っている。しかしその首相を間接的に選んでいるのは有権者なわけだから責任はもちろん有権者にあるのだけれども、成熟社会というのは結局ルックスで決まるのかもしれないという思いもある。ファッションがどうだ、髪型がどうだ、ネクタイがどうだ、ライフスタイルがどうだ、妻(夫)はどうだ、子供はどうだ、というのは日本だけの話ではなくて、サミットの顔ぶれを見ると、まあだいたいどこもいい男(女)がそろっている。もちろんイギリスのブレア首相のように、ルックスも頭もいい人もいるし、フランスのシラク大統領のようにじじぃとはいえ洗練された才人もいる。発展途上国に目を移すとやはりガツガツとしたタイプやカリスマ、圧倒的な血筋といったところが強く、先進国とはまったく様相がちがってくる。そうなると日本人はどういう人がトップにふさわしいと考えているのかといえば、まずは国際舞台で恥ずかしくないルックスが今後も第一条件になってくるだろう。頭の中身はどうでもよく、取り巻きの手腕で世の中が動くということになる。ということは、ますます官僚政治が強まるのであって、とりわけ官僚の中でもいちばん強い財務省主導の行政になるだろう。
小泉首相の属する森派というのは源流の福田派からずっと旧大蔵省とべったりの派閥であるゆえ、小泉首相は財務族議員である。今回争点となる郵政民営化というのは財務省の悲願であって、小泉首相の口から出る言葉というのは財務省の言葉を代弁しているにすぎない。昔から小泉首相は郵政郵政といっていたが、ちょっと突っ込まれれば何も答えられないというように難しいことは何ひとつわかっていない。しかし財務省からすればそれでいいのである。とにかくルックスがよくて支持率が高くて頭がよくなくて我々の意のままに動く小泉首相がトップにいる間になんとしても郵政民営化の法案を通過させて、郵便局に眠る350兆円の金がほしいのだ。私の考えを少しはさむと、過去の失政とか責任追及とかはとりあえず置いといて、郵便局のお金はやはり市中に流さなければならないとは思う。今まで旧田中派主導で郵政の資金を地方に流し道路やダムをつくってきたのだが、その流れを断ち切らなければならないという財務省の考えはまちがっていないし、いままでのようにやっていてはもう限界である。ただ問題は郵政法案が通過したとして、実際その資金がどのように流れるかがよくわからないことだ。今の法案のままだとフリーハンドなので、外資はてぐすねひいて待っている。外資は民営化大賛成だ。外資が善か悪かというより、金融戦争になるとまず日本は勝ち目がないし、結局米国国債を買わされるので、米国国債の暴落が即日本経済の破綻となる可能性もある。このままの法案では「アメリカのアメリカによるアメリカのための法案」という一部の見方は正しいといわざるを得ない。財務省も所詮は自己保身の強い官僚なので、日米関係をこわすなんてとんでもないという弱腰のやつらばかりだし、アメリカに食って掛かるなんて根性の座ったやつなど一人もいない。この法案は欠陥品だと思う。よって私は反対に投じるつもりだ。株価や景気のためには民営化されたほうがもちろんいい。しかし長い目で見ると、おおげさにいえば、これはアメリカの日本占領の仕上げのような法案でもあるのかもしれない。日本のすべての命運をアメリカに握られたということになるのかもしれない。
郵便局に眠る資金は日本最後の砦のように思えてくる。だから今回はとりあえず廃案にして、郵政資金を国内から出ないような仕組みをつくるのがベストのシナリオだと思う。が、アメリカはそれを許さないだろう。国際政治というのは最終的には最前線に立つ人間の心意気というのがいちばん重要なのだ。その最前線にいるのが、頭の悪い首相とへたれ官僚であるという事態が我々の最大の不幸なのである。しかしアメリカはほんとに策略がうまい。アメリカべったりの竹中をまんまと政権に送り込んで、アメリカの手足として働かせたのだから。小泉内閣というのは竹中内閣である。一部の人たちがよく使う「売国奴」という表現が正しいかどうかはわからないが、竹中はアメリカを中心としたグローバル経済の信奉者なので、日本もその中に組み込まれるのが日本の幸せと思っている。はたしてそうなのだろうか。われわれ有権者はそこのところをよく考えて選挙に行かなければならない。もしかしたら竹中の考えが正しいかもしれず、こればっかりはタイムマシンでもないかぎり誰にもわからないのだが、現時点ではいくら景気がよくなるとはいえ、竹中のやり方には賛成できない。これだけの大問題なのにメディアが大人しいのが気がかりだ。刺客だのくのいちだのあまり低俗な話題で選挙戦を報道してほしくない。
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