今回のRECOMMENDは、ちょっとこれまでと毛色を変えて、面白い試みをされている企業さんにお話を伺いに行こう! という企画。

 そしてその企業とは、既存のビジネスホテルを買い取って、徹底したリサーチに基づいた、想定される顧客のニーズに応えうる形にリニューアルするというホテル再生事業を手がけている(それだけではなく、もっと色々なこともされているのですが)株式会社金森実業さん。

 すでに、
「高崎駅前プラザホテル」「松本ウエルトンホテル」の2軒のホテルを手がけ、共に稼働率90%を超える人気ホテルに再生させ、10月1日に第三弾として、北海道の「苫小牧グリーンホテル」をリニューアルオープンさせた金森実業さんにお話を伺ってきました。


管理人ハセガワ(以下H) 「高崎駅前プラザホテルと、松本ウエルトンホテル、そして、この度リニューアルオープンする苫小牧グリーンホテルとも、地域最安値を謳っていますが、その値段を実現するための要素として、やはり既存のホテルのリノベーションというのが最大のポイントであると感じました。

 恥ずかしながら不勉強にて現在の状態は存じ上げないのですが、都営大江戸線が開業した際に、単純な電車の運行だけなら利益があがっているのだけれど、建設工事資金として融資を受けた借入金の利息の返済を加えると赤字になってしまっていた、というニュースを見た記憶があるのですが、やはり一から土地を買って躯体を建築するということに比べれば、大幅に初期投資が抑えられるのではないでしょうか?」

株式会社金森実業 金森様(以下K) 「そうですね。サービーサー(債権回収会社)や競売での取得ですので新築に比べて数分の1の取得コストで済みます。ですから、確かに初期投資は抑えられています。しかし、当然のことながら、収益を上げるための投資まで惜しむようなことはしておりません。

 一から新築することに比べて浮いた分の金額を全て――というわけではありませんが、リニューアル後に多くのお客様にご利用いただき、そしてご満足いただけるホテルに生まれ変わらせるための投資はしっかりとしておりますし、高崎駅前プラザホテルと松本ウエルトンホテルにおいては、その結果としてお客様のご支持をいただけているのではないかと自負しております。もちろん苫小牧グリーンホテルにおいても、同様の成果を上げられるように取り組んでおります」

H 「なるほど。しかし唐突ですが、ホテルのリノベーション、というのはある意味エコですよね(笑)」

K 「そうですね(笑)。やはり、当社のノウハウがあれば収益を上げられるのに――と思える物件ですと、『もったいない』と思ってしまいますし、実際にビジネスのお話をしに伺ってしまうこともしばしばです」

H 「もったいないのは資源ばかりではないと」

K 「ええ(笑)。元が自然に満ちている場所を切り開きホテルを建てるというのであれば、いかに収益が見込めるとはいえ、それこそもったいないと感じますが、同様に、たとえ人工物とはいえ、既に作られているものはやはり大切にしなければいけないのではないでしょうか」

H 「耳が痛いです(笑)。それに、ホテルをオープンさせるとなると、通常建設作業が地域に臨時雇用をもたらすというもう一つの重要な側面もありますが、その点においても、取り壊し新築するほどではなくとも、リフォーム工事において地域に雇用も生んでいるわけですね」

H 「それでは、10月1日にリニューアルオープンした、苫小牧グリーンホテルについてお話を伺わせていただきます」

K 「はい」

H 「当然のことながら、商売が上手くいかないのにはそれなりの理由があるはずで、いかに金森実業さんのノウハウが優れていたところで、そうはリサイクルしようと決断できる物件には出会えないのではと思うのですが、苫小牧グリーンホテルであれば再生できると思ったポイントはどのような点なのでしょうか?」

K 「やはり立地の良さですね。苫小牧駅から徒歩4分。新千歳空港から直行のバスが停車するバスターミナルからも徒歩4分というのは非常に魅力的でした。加えて、近年苫小牧はホテルの建設が相次いでおり、潜在的なニーズは元々大きい地域であると言えます。

 そして、王子製紙やトヨタ関係の企業など、利用者の方の多くが観光目当てではないビジネスマンの方が多い、というのもポイントでした。出張やゴルフなどで訪れる方が多い土地柄で、駅から至近で地域最安値、そしてここが肝心なわけですが、ホテルの質は料金に見合う以上のグレード、お客様にもご満足いただけるに違いない、と考えたわけです」

H 「なるほど。確かにビジネスマンの方にはたまらないサービスが多いですよね。個人的にはクオカードつきプラン(500円分のクオカードがつくプラン)は見事だな、と思いました」

K 「ありがとうございます」

(編集注:出張などを経験されたことがない方のために、蛇足ながら説明をば。 状況や会社によりけりではあるのでしょうが、出張後領収書を提示して宿泊代を精算してもらう場合、たとえば宿泊費4500円のホテルに泊まり領収書を貰い、コンビニで500円分雑誌や飲み物を買っても、経費として認められるのは4500円分ですが、クオカードつきプランなら、クオカード分の金額も宿泊費に含まれた領収書が貰える上に、そもそもがそのクオカードを使うのはいつでもどこでもいいというわけです)

H 「そして、全館でFREESPOTを導入」

K 「はい」

H 「この料金(シングル1泊4500円)で無線LANが使えるのはありがたいですね」

K 「ありがとうございます」

H 「安いビジネスホテルに泊まると、本当に安いんだけど、インターネットには1階のロビーからしか接続できません、みたいなのが本当に多いですからね……」

K 「正に、宿泊料金が安いだけでしたら、安かろう悪かろうで済む話ですので、特に当社が力を入れている点になります」

H 「この料金で無料朝食つき、というのもサラリーマンには心強い味方ですね」

K 「はい。それのみならず、全シングルルームに140cmのダブルサイズのベッドを導入し、枕も羽毛枕と彽反発枕の2種類からお選びいただけるなど、ゆったりとお客様に身体を休めていただけるように心を配っております」

H 「なるほど。プレスリリースに、各階ごとに異なるカラーコーディネートがされている、というのはどのような意図があってのものなのでしょうか?」

K 「そちらに関しましては、地域最安値で、サービスも充実しているとなれば、獲らぬ狸の皮算用のようで僭越ですが、何度も繰り返しご利用いただけるといったケースも出てくるのではないかと想定しております」

H 「それは十二分に考えられることですね」 

K 「そういった際に、以前お泊まりになられたお部屋と別のフロアのお部屋にお泊まりいただくことで、新しい別のホテルに宿泊されるような新鮮なお気持ちになっていただければ――と思ってのことです」

H 「ホテル宿泊をエンジョイするのに非日常感は1つの肝ですからね。いかに気に入ったホテルとはいえ、同じ内装の部屋に何度も泊まり続けることになると少し寂しいかもしれませんね」

K 「はい。また、反対にこのお部屋のカラーが気に入った、といった場合には、またのご利用の際にも同じフロアをご指定していただければと存じます。ただ、満席でご案内できないといったことも起こりうるやもしれませんが……(苦笑)」

H 「それは……しょうがないですね(笑)」 

K 「そのような際には、何卒ご容赦いただければと存じます(笑)」


■ 苫小牧グリーンホテル
〒053-0022 北海道苫小牧市表町5-6-1
Tel: 0144-32-1122
Web:
http://www.tomagh.com/


 どうでしたか? お前エコって使ってみたかっただけだろ、と言われれば返す言葉もありませんが(苦笑)、しかし、既存のホテルの再生って面白い試みではないでしょうか。大きなホテルの支配人が替わって、人材教育を徹底して名門ホテルを蘇らせていく――なんてのは漫画などでよくある筋書きですが、あるスキームを、複数のホテルに援用して再生していく、というのはあまりなかった試みなのではないかと思います。

2008/10/1 ハセガワ

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